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アメリカ史上最大規模の原油流出による環境破壊(2010年)

アメリカ史上最大規模の原油流出による環境破壊

原油流出による環境破壊

アメリカは古くからの産油国です。最近では岩盤から原油を採掘するシェールオイルが有名ですが、海上の油田の発掘も大規模に行われています。今回ご紹介するのは、そんな中起こった2010年の事故についてです。

アメリカ本土の南の海はメキシコ湾と呼ばれており、この湾の一角の原油がでる鉱区を2008年に落札したのが、イギリスの石油会社BPです。BPはもともとBritish Petroleum(英国石油)という社名で、世界最大手の石油会社の一社です。日本では見かけませんが、海外の一部の国ではガソリンスタンドの運営も行っています。

2010年2月から原油の採掘が始まったのですが、事故が起こったのは2ヶ月後の同年4月。石油掘削施設で大規模な爆発があり、11名の行方不明者、17名の負傷者がでました。爆発の後、石油掘削施設は水没し、原油流出が始まりました。メキシコ湾に接するいくつかの州では非常事態宣言がだされました。

BPを上げての取り組み、またアメリカ政府が本腰を入れて、原油の流出を封鎖する作業が行われました。流出から5ヶ月後の2010年9月には原油流出を完全に封鎖したとの宣言が出されています。

「5ヶ月で沈静化。意外に対したことなかったのかな」と思われる方もいるかもしれませんが、実際事故による被害は想像を絶するものです。メキシコ湾の豊かな水産資源に大きな影響があり、また事故によりメキシコ湾沿いの州への観光客が激減など、経済的な影響、ならび自然に対して大きな影響がでています。BPは、これら損害に対する賠償として200億ドル(1兆8,000億円程度)を引き当てています。莫大な金額です。

日本も無関係ではありません。鉱区開発はBPが主導していましたが、ここから算出される権益の10%を日本の総合商社、三井物産の孫会社が取得する契約を結んでいたためです。資本関係だけでいえば、三井物産も10%の責任があったという事です。三井物産は実際に採掘を行っていたわけではないので、賠償額は小さかったですが、それでも米国政府に70億円以上を支払っています。

今回の原因の直接的な原因は作業ミスですが、背景として上げられていたものの中に、採掘の工期が遅れ、作業責任者が焦っていたというものです。事故が起こった時点ですでに予定完了日を29日過ぎていました。1日100万ドル(1億1,000万円)の遅延損害金がかかるとのことで、現場の作業者に無理を強いた可能性も指摘されています。

天然資源の採掘は、大きな利益を生む可能性がありますが、事故が起こると近隣の環境を大きく破壊しかねないものです。利益と安全のバランスをとることは簡単ではないですが、悩み抜いた上でそのバランスをとってほしい、そう思う事件でした。

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